2026年5月14日木曜日

自由創作同盟

  結論から述べるが、僕は生成AIによる「クリエイティブ」な活動には、根本的かつ完璧に反対の立場だ。少なくとも今後、自発的にそれを行う事は絶対にない。

 白状すると、生成AIを利用して作品を出力した事はある。たしか2021年の暮れだったと思うが、「AIのべりすと」という小説生成サービスを用いて、興味本位でアニメ作品のパロディ小説を出力してみた。

 その段階では生成AIが何をやっているのか、理解していなかった。ただ、AIが吐き出す文章というのもどこかの時点で内容が頭打ちになる事がわかり、それなら自分の頭で考えた方が早い、と気付いて、2022年はじめ、人生で初めて書いた小説がこの作品「メイズラントヤード魔法捜査課」第1話、「下院議員殺人事件」である。執筆にあたって、AIに頼る必要性は砂粒ひとつぶんも無かった。普段漫画を描いている自分が、未熟(正規表現などを知らない、といった事も含めて)でありながらも小説を書ける、という驚きがあった。そこからは書くことが楽しくなり、翌2023年の1月から7月にかけて、全187話・116万文字に及ぶ女子高校生のフュージョンバンド物語「Light Years」を書き上げ(労働をしながらだ!)、小説執筆2年目でWEB小説大賞の一次選考を通過した。

 そして、小説を書き始めることと並行して浮かんだのが、生成AIとは何をしている技術なのか? という疑問だ。辿り着いた事実は、それが高度に複雑化された剽窃システムである、ということだった。

 生成AI肯定論者は言う。それは人間が何かを学習して、模倣する事と同じである、と。

 冗談も休み休み言ってほしい。生成AIはデジタルデータと無機物のハードウェアによって構成された、感情や人格、主体性を持たない「システム」である。我々(アマチュアの僕が言うのも烏滸がましいが)クリエイターは、オリジナルに触発されて学習し、自らの欲求と創造性に基づいて、「自らの責任で」創作を行う。この時点でAI、そして「生成AIクリエイター」などと称する人々とは一線を画している。彼らはクリエイターではなく、単なるクライアントである。これは主観ではなく、ただの客観的事実だ。指示に従って、データセンターが収集したデータを、心なきアーティストが継ぎ接ぎして出力しているのだ。

 5000兆歩譲って仮に生成AIが人間のクリエイターと同等である、と認めるにしても、そうなると今度は人間のクリエイターと同様に、著作権に注意を払ってもらう必要が出て来る。人間のクリエイターだって、模倣の度が過ぎれば訴えられるのだ。生成AIだけはそれを見逃してもらう特権がある、とでも言うつもりだろうか? 生身のクリエイターと同等だというのなら、同じ責任を負うべきだろう。

 たとえプロ、それも僕自身が敬愛しているクリエイターであろうとも、生成AIをその仕組みを理解したうえで肯定したのなら、批判の対象になる。生成AIを活用するプロダクションに参加した、広井王子氏がそうだ。僕にとって「魔神英雄伝ワタル」は、人生の何割かを占めるほど深い思い入れのある作品であり、それを生み出した広井王子氏が生成AIの軍門に下ったというのは、救世主ワタルがドアクダーと手を組んで神部界を侵略し始めたのに等しい。どれほどショックだったか、もし広井王子氏がこれを読んだら、わかっていただけるだろうか。天国の芦田豊雄氏は何と言うだろうか。

 生成AIを利用しなければ時代に取り残される、という意見に対しては、取り残されたらどうなのだ、としか思わない。少なくとも作品を生み出す事に関していえば、僕は生成AIなんか全く必要としないし、そんなものに頼らなければ文章ひとつ、絵一枚も創れないクリエイターなど、二流、三流にすぎないと白状しているに等しい。

 僕に言わせれば生成AI、そして発展型のAIエージェントなどという代物は、馬鹿を大量生産して少数のエスタブリッシュメントが支配するための下地作りだ。AIを使わなければ取り残されるぞ、今すぐAIの使い方を覚えろ、答えは全てエージェントに訊け、というPRに踊らされて、特定の企業(そしてそれと結託した政治家)によって恣意的にコントロールされたプログラムに誰もがお伺いを立てる。そんな世界、少数の支配者にとっては天国ではないか。YAHOOのニュースにコメントを残したことがある人間はわかると思うが、特定のワードを打ち込むと、もっと上品な言葉を使いましょうと指導してくる。AIは公平でも何でもない、企業の意志に従う奴隷である。もう、80年代のディストピアSF映画だ。

 世界中で莫大なリソースを投入して各国が鎬を削る分野が間違っているはずがない、と思うかもしれないが、それなら世界の指導者たちが間違っているのだ。指導者が間違いを犯すはずがない? 本当にそうなら、ホルムズ海峡の惨状と茶番など説明がつかないだろう。かつて世界中で共産主義思想に多くの国が取り憑かれた結果、生まれたのは夥しい独裁国家だ。それに近い事が起こるのではないか、と僕は危惧している。そういえば以前、生成AIは個人の才能と成果物を吸い上げて分配する「才能の共産化」だ、とSNSで揶揄されたこともあった。

 生成AIの行き着く先はどこか。僕の危惧が単なる妄想で、何も起こらないのならその方がいいが、すでにデータセンターの乱立による環境破壊、公害、水やエネルギーの争奪という事態が現実のものになっている。AIの台頭で最初に一番儲けるのはエネルギー企業ではないのか?この事態に呼応する形で、僕はいま、ひとつのSF小説を書いている。22世紀の荒廃した世界が舞台の「エリコの方舟」という作品だ。べつに読まなくてもいいが、当然執筆には生成AIなど用いていない。

 タイトルの「自由創作同盟」は、田中芳樹「銀河英雄伝説」の自由惑星同盟のパロディーだ。生成AIという帝国主義に対抗する「叛徒」、といったところだろうか。今のところ僕一人だが、同盟に参加するには、それを表明するだけでいい。リーダーもいないし、集会も開く事はないし、お金も一切かからないが、一人ひとりが表現者の自由と誇りと尊厳を掲げる事が条件だ。

2025年11月10日月曜日

【小説作品】メイズラントヤード魔法捜査課


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【ストーリー】
 聖暦1878年、海に浮かぶ連合王国のひとつ、メイズラント。産業革命と科学の発達によって蒸気機関や電話、自動車などが発達したこの王国で、ある時期を境に、科学では説明不可能な奇怪な事件が頻発した。

 炎天下の石畳で凍結したまま、一向に溶けない女の死体。誰も登ることのできない鐘楼の、避雷針に突き刺さって死んでいた男。豪華なベッドごと、ギロチンにかけられたように切断された資産家。換金する直前、まったく同一の筆跡で10倍に書き換えられていた小切手。
 
 何千年もの昔に魔法が存在し、魔女によって拓かれたという伝承が残る土地で起こる、不可思議な事件の数々を、いつしか人々はこう呼び始めた。

 ――魔法犯罪、と。

 これは、奇怪な事件に立ち向かう三人の刑事の物語である。


 2022年から執筆を始めた、著者初の小説作品です。全体としては長編ですが、エピソードごとに6万〜10万文字前後で完結しているので、登場人物の時系列要素を除けば、いちおうどのエピソードからも読めるようになっています。
 概要からわかる通り、本作品の主軸は「魔法」です。おそらくミステリには邪道である筈の要素を、あえて持ち込みました。作品のコンセプトは、読んでいただければわかると思います。

 主人公は三人。もとメイズラント警視庁・重犯罪課の刑事アーネット・レッドフィールド巡査部長、もと国家情報局員ナタリー・イエローライト巡査、そして10歳で大学を卒業した天才魔法少年、アドニス・ブルーウィンド特別捜査官。新設された部署「魔法犯罪特別捜査課」に配属されたこの三人が、ある手段によって魔法を悪用して行われた犯罪を捜査する、という展開が基本になります。
 アーネットとナタリーは大人になってから基礎的な魔法を習得しただけで、本当の意味での魔導師はアドニス、通称ブルーただ一人という設定。
 
 主な舞台は、メイズラント王国の首都リンドン。19世紀ロンドンをイメージした架空の都市です。シャーロック・ホームズの世界に魔法が登場する、と考えればわかりやすいでしょう。イギリスの探偵ドラマのような、湿度と陰のある展開をイメージしたのですが、書いてみるとどうも、アメリカのポリスコメディに近い雰囲気になってしまいます。
 もともとは昔、漫画用に切って没にしたパイロット版ネームが原作なのですが、むしろ小説の方が向いている、と気がつきました。

 実は根底に、とある大好きなドラマ作品のイメージが横たわっているのですが、気付いてくれた読者さんは今のところ一人もいません。時間つぶし程度に読めるものにはなっていると思うので、お暇ならご一読いただけると嬉しいです。

 作者として今いちばんお気に入りのエピソードはこちら。

2025年11月6日木曜日

原稿用紙への回帰


 ものすごく久しぶりに、オリジナルの漫画原稿を進めている。といってもネーム自体は、何年も前からWEBにアップしているんだけど。

 言い訳ではあるけれど、漫画を描く時間は本当に取れない。けれど、取れない取れないと言っていたら永遠に描けないので、少しずつでも仕上げる事にした。残り30数ページ、いったい完成はいつになるのか見当もつかない。

 その点、小説は本当に早い。漫画に比べれば労力は10分の1くらいだ。もともと文章を書くのは苦にならないので、漫画を描けない間に小説を書くのは、いい経験になった。

 今後も、漫画と小説は両方続けていこうと思う。先の日記でも書いたけれど、漫画向きの作品と小説向きの作品があって、一長一短だからだ。よくロボットものやヒーローものの小説があるけれど、個人的にはどうも、いちばんコストがかからないからという理由で制作されているように思う。

 藤子・F・不二雄の享年は62歳。仮に同じくらいの年齢で死ぬとしたら、僕ももうそれほど時間が残されているわけではないかも知れないし、もっと早く死ぬかも知れない。これから、どれほどのことができるか。何作、描き遺せるか。ダメージ・リミテーションだ。やれるだけやってみよう。

2025年11月2日日曜日

【小説作品紹介】Light Years

 2022年よりWEB上で発表してきた小説作品を紹介していきます。

 ひとつめは2023年に書き上げた、女子高校生5人のフュージョンバンドが主役の「Light Years」。全187話で完結。


【ストーリー】
 主人公・大原ミチルは、南條科学技術工業高等学校フュージョン部に所属する2年生。キャンディ・ダルファーに憧れてアルトサックスを学んだミチルは、その演奏能力と行動力でバンドメンバーを引っ張ってゆく。
 ある日、ミチルは顧問の竹内から、フュージョン部は同好会への降格から廃部というルートが、職員会議の結果ほぼ規定路線となっている事を告げられる。提示された存続の条件は、ほとんど実現不可能な内容だった。

 肩を落とすミチルがひとりクラブハウス前を歩いていると、ふと今まで立ち入ったことのない、旧校舎時代の古いクラブハウスから、マイ・ケミカル・ロマンスの曲が微かに聴こえてくる。古びたアルミフレームのドアに手をかけたミチルに、ひとつの出会いが訪れ、ミチルたち「ザ・ライトイヤーズ」の物語が動き出すのだった。


 本作は2019年に描いた、パイロット版の漫画ネームが原案です。村治薫という物語のキーキャラは、漫画でミチルと同学年だったのが、小説ではひとつ下の後輩になっています。ロックバンドやジャズの作品は沢山あるものの、フュージョンというそれまで誰も題材にしてこなかったジャンルを主役に据えて、どう物語を展開させればいいのか? という不安はあったのですが、むしろそのマイナーさを逆手に取ればいいのではないか、と考えたら、すんなり物語の骨子が決まりました。
 せいぜい10万文字で、部活存続問題に決着がついたあたりで終わるつもりだったのですが、どうもここでは収まりがつかない、このキャラはもっと掘り下げたい、と考えているうちに、約115万文字にまでなってしまう事に。序盤で終わるはずだった、という点だけは銀河英雄伝説と同じだったりします。サイドキャラも話を追うごとに増えていって、数えていませんが、たぶん60人は下らないかと思います。100人は行ってないはず…

 せっかく書いたのだからと、その年のWEB小説大賞に応募し、一次選考は通過したものの二次で落選。まあ、小説を書き始めて2年目にしては、健闘したのではないかと思います。落ちた原因は文字数(単行本9〜10巻分)もあったのではないか、と今では思います。

 音楽理論の知識はほとんどなかったので、執筆中はわからない事を調べるのが大変だったんですが、その過程で僕自身も色々知ることができました。物語はフュージョンを軸として、小説の体裁を装った僕の好きな音楽のプレイリストのような内容になっています。そこに主人公や様々な登場人物や事件を絡め、悲喜こもごもの青春群像劇に仕上がったのではないか、と思います。ある読者さんからは、これこそ真の青春ドラマだ、と評していただきました。この場を借りて、お礼申し上げます。

 興味をお持ちいただけた方は、ぜひご一読ください。作品中に登場した一部楽曲のプレイリスト(Spotify)もまとめてあるので、聴きながらお読みいただければと思います。


2025年11月1日土曜日

七年漂流記


ここで最後に投稿したのが何と7年前。その間まあ色々と右往左往して、そのわりに何も達成できてないのが相変わらずの自分ではある。画像はゆうべRedditにアップしたハロウィンネタ。

Twitterはもう、Xになったあたりでやめてしまった。アカウントはそのままだけど、流れてくるポストのあまりの低劣さにウンザリしてしまった。朝から晩まで政治論争してて、時間がもったいないと思わないのだろうか。国の頭が代替わりするたびに、総理バンザイの大政翼賛会。

そうぼやく僕は何をしていたのかというと、まだ新型コロナが流行していた2022年より、人生初の小説をWEBにアップし始めた。


ペンネーム「塚原春海」は気に入ったので、しばらくこれで行く。なろうをメインに掲載してはいるが、なろうで主流の作風にはかすりもしていない。単にユーザーが多いから利用しているだけで、ほかにもカクヨム等にマルチ投稿している。ちなみに実績は2023年、『Light Years』という女子高校生がフュージョンバンドをやる作品が、ネット小説大賞で一次選考を通っただけで、それ以外はまるで読まれていない小説をコソコソと書き続け、4年弱で全作品トータル380万文字くらい(たぶん)になってしまった。最初の年にアップした「メイズラントヤード魔法捜査課」「絶対零度女学園」の2作品は、現在更新休止中。今は初のSF作品であるエリコの方舟」を連載中、だいたい70万文字くらいで完結できればと思っている。他にも試しに書き始めて、しっくりこないので放置中の作品がちらほら。

そもそも小説を書き始めたのは漫画を描く時間がなかったからなのだが、始めてみると作品によっては小説の方が向いていることがわかった。特に、前述の音楽ものと小説の親和性がこれほど高いとは思わなかった。漫画で音楽の演奏シーンを描くと、楽器の音は擬音で表すしか方法がなく、案外間抜けになってしまう。

漫画やイラストは相変わらずチマチマと描いてはいるが、全く何の成果もあげられていない。昔、青木雄二から将来性ありと太鼓判を押されたのだが、僕がバカだったせいで将来が一向にやって来ず、結婚もしないまま歳だけ食ってしまった。もう死んだほうが自分のためにも世のためにも良さそうだが、こんなろくでなしでも死んだら迷惑をかける人はいるので、そうもいかない。

エンタメ方面だと、2017年頃からリトルウィッチアカデミアにはまって以降、TRIGGER作品はいちおうチェックしている。グリッドマン、ダイナゼノン、プロメアは良かった。アニメは1話か2話で切るパターンが多い。期待した魔神創造伝ワタルは1話でもうだめだった。
ゲームは原神が楽しいけれど、育成が面倒くさすぎて放置中。もっぱらイース、テイルズ等の買い切りが中心で、Gravity DazeやBlood Stainedなども良かった。今はSteamでスケボーゲーム「Skate.」のアーリーアクセス版をプレイ中。

まあ正直言って、もう色々と疲れてきてはいるのだが、まだできる事もあるとは思うので、ここも時々更新していこうと思う。

2017年12月23日土曜日

若林博士博士の研究室 2017Xmas 1P拡大スペシャル



少々早いけどメリークリスマス。

なおキリスト餅は実在します。五平餅のような見た目で、味も五平餅のようであり、要するに五平餅なのではないかと思うのですが、キリスト餅なのです。