2022年よりWEB上で発表してきた小説作品を紹介していきます。
ひとつめは2023年に書き上げた、女子高校生5人のフュージョンバンドが主役の「Light Years」。全187話で完結。
【ストーリー】
主人公・大原ミチルは、南條科学技術工業高等学校フュージョン部に所属する2年生。キャンディ・ダルファーに憧れてアルトサックスを学んだミチルは、その演奏能力と行動力でバンドメンバーを引っ張ってゆく。
ある日、ミチルは顧問の竹内から、フュージョン部は同好会への降格から廃部というルートが、職員会議の結果ほぼ規定路線となっている事を告げられる。提示された存続の条件は、ほとんど実現不可能な内容だった。
肩を落とすミチルがひとりクラブハウス前を歩いていると、ふと今まで立ち入ったことのない、旧校舎時代の古いクラブハウスから、マイ・ケミカル・ロマンスの曲が微かに聴こえてくる。古びたアルミフレームのドアに手をかけたミチルに、ひとつの出会いが訪れ、ミチルたち「ザ・ライトイヤーズ」の物語が動き出すのだった。
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本作は2019年に描いた、パイロット版の漫画ネームが原案です。村治薫という物語のキーキャラは、漫画でミチルと同学年だったのが、小説ではひとつ下の後輩になっています。ロックバンドやジャズの作品は沢山あるものの、フュージョンというそれまで誰も題材にしてこなかったジャンルを主役に据えて、どう物語を展開させればいいのか? という不安はあったのですが、むしろそのマイナーさを逆手に取ればいいのではないか、と考えたら、すんなり物語の骨子が決まりました。
せいぜい10万文字で、部活存続問題に決着がついたあたりで終わるつもりだったのですが、どうもここでは収まりがつかない、このキャラはもっと掘り下げたい、と考えているうちに、約115万文字にまでなってしまう事に。序盤で終わるはずだった、という点だけは銀河英雄伝説と同じだったりします。サイドキャラも話を追うごとに増えていって、数えていませんが、たぶん60人は下らないかと思います。100人は行ってないはず…
せっかく書いたのだからと、その年のWEB小説大賞に応募し、一次選考は通過したものの二次で落選。まあ、小説を書き始めて2年目にしては、健闘したのではないかと思います。落ちた原因は文字数(単行本9〜10巻分)もあったのではないか、と今では思います。
音楽理論の知識はほとんどなかったので、執筆中はわからない事を調べるのが大変だったんですが、その過程で僕自身も色々知ることができました。物語はフュージョンを軸として、小説の体裁を装った僕の好きな音楽のプレイリストのような内容になっています。そこに主人公や様々な登場人物や事件を絡め、悲喜こもごもの青春群像劇に仕上がったのではないか、と思います。ある読者さんからは、これこそ真の青春ドラマだ、と評していただきました。この場を借りて、お礼申し上げます。
興味をお持ちいただけた方は、ぜひご一読ください。作品中に登場した一部楽曲のプレイリスト(Spotify)もまとめてあるので、聴きながらお読みいただければと思います。