「マリア様がみてる」より、大学生の祥子さま。
この作品のファンになったのは、TVアニメ2期までが放送終了になって後の事で、どちらかと言うと原作中心にのめり込んでいきました。もうあれから10年以上経ちます。
それまで少女小説というものは読んだことがなくて、独特の雰囲気に惹かれました。今野緒雪先生の感情表現は、繊細かつ軽妙、時に重厚で、なかなか他の人に真似のできない世界観だと思います。
なんとなく、「百合ブーム」の火付け役みたいな扱いですが、僕は少し捉え方が違っていて、基本的にはごくシンプルな、青春群像劇だと思います。その証拠に、百合ものを特集したムック等では、マリみての扱いが意外なほど小さい。これは、ジャンルありきで出来上がった作品と、本作品との相違点ではないでしょうか。
マリみての感想を女性に聞くと、「これはファンタジーだ」という人と、「こんな感じだった」という人に分かれるのが面白いです。どっちも真実なんじゃないのかな、と今では思います。
正直に言うと、アニメは音楽もキャストも素晴らしいのだけれど、絵柄がちょっと僕のイメージと違ってました。悪いわけではないけれど、原作の軽やかさ、湿り気と乾燥、独特の重さを表現できていたのだろうか、と。特に後期のOVA以降は、だいぶ別物の絵になっていったような気がします。
同じ時期の好きな作品、たとえば「RED GARDEN」のような絵柄だったらどうなっていたでしょうか。
原作では、祥子が卒業したところで一区切りとなり、その後は本格的には描かれないままなので、実質的にはもう完結していると思いますが、祥子の大学生活なんかも少し描いて欲しかった、という気持ちはあります。